
カヌーが行く湖面の底から音もなく巨大な龍が浮上しつつ、カヌーを追い越し浮かび上がろうとしてる図です。
龍の背中が見える深さの表現は青色の版のグラデーションで決まりますが、試し刷りでよく決まらないまま見切り発車しました。
でも85枚摺る中でもなかなか決まらず、色々試してるうちに85枚が終わってしまいました(汗)。
湖面のグラデーションは均一にせず、敢えてマダラにしたりモヤモヤっとさせて龍の居そうな雰囲気を醸してみたりしています。
敬頌新禧(けいしょうしんき)という語は意味としては「謹賀新年」と変わらないですが、全体の雰囲気を少し中国寄りにするのに引っ張りだしました。
6版8色。
2023年はガラリと趣向を変えました。
1999年の版画も兎の図案でしたが、これは過去作の中でも結構気に入っていました。
それから24年(!)、時の早さを感じつつ、当時と同じモチーフを今やればどうなるか・・、とやってみたのがこの年の版画です。
1999年との共通条件は、全体を枠で囲った図案、草むらに太い輪郭のマダラ模様の兎、アールヌーボー調の文字。
結果として同じものがまた出来てもいいやと思って始めたのですが、結局全然違うものに仕上がって自分でも驚きました。
さて2018年の戌から毎年続けてきたカヌー鳥瞰図のデザインですが、やめた訳ではありません。隠し絵のように忍ばせていて継続中、2つ入ってます。答えはこちら。
6版7色。
この年は少しラクして、2版2色とシンプルにいきました。
インドの森をいくカヌーと、藪からその後ろ姿を睨むトラの図柄です。
絵の雰囲気は、ちょっと昔のインドや中東の絵草紙っぽい感じを狙いました。
トラも、日本の様式化されたトラとは違う異国文化の雰囲気を目指しました。
ただ全体を描いて版下にしたらカヌーとトラを描いた視点が違ってて、カヌーが滝登りしてるようになりました(汗)。
修正しようかとも思いましたが、前述のインドや中東の風俗画ってデッサンが変(人の首が座ってなかったり立体感がおかしいとか)なのがむしろ味になってるよな、と思い直しそのままにしてみました、、、が、やはり変すぎでした(涙)。
2020年のキャラクターへの逃げを反省し、正統派で攻めました。
アジア風の蓮池と水牛がテーマで、コロナ禍で時間がたくさんあった事もあり力の入ったデザインとなりました。10版15色です。
…ただ、摺りが大変で懲りました。水牛は真っ黒を出すのに同じ版で3回摺ったり、蓮の花は小さな花弁をグラデーションにするのに木版に消しゴム判子で絵具を乗せたりと、摺りの作業は面倒の極致でした。
次の年は絶対シンプルに行こうとこの時点で決めたのでした。
図案が楽でシリーズ化したのに鼠と絡めるデザインに悩み、キャラクターに頼ってしまいました。
カヌーの主と犬の組合せを、和船のミッキーとプルートに置換えて、全体も和風としました。
版と色数が多くて大変だった前年の反省から、6版9色に減らしました。
手摺りの風合いが伝わりにくい年賀ハガキをやめて、越前和紙のハガキにしてみました。
前年の版画が好評だったのに気をよくして、カヌーのシリーズを12年(干支一巡)続けることにしました。この年は猪の親子と出会う構図です。10版13色。
毎年カヌーと決めてしまえば図案の構想が楽というのもありました。
浮世絵のプロの彫り師さんにアドバイスをもらう機会があり、画期的に少ないバラツキでたくさん摺れるようになりました。
この年から年賀状に印刷は交えず、100%手摺りの版画でお送りしています。
この年、19年ぶりに年賀状を木版画に戻しました。7版9色。
版画は50枚ほど摺って、あとは画像データにしてプリンタで印刷しました。 このためこの年にお送りした年賀状は、印刷と手摺りが半々の確率となっています。
日本郵便主催で「全日本年賀状大賞コンクール」というのがあるのを知り、試しに応募したところ奨励賞をいただきました。
版画部門 応募数8千作品の中から一般の部の入賞13作品の一つです。
以前は↑のリンク先に私の版画も掲載されていましたが、過去5年までの掲載のようでもう表示されなくなってしまいました。
2018年からのカヌーシリーズで再開するまでは、これが最後の版画でした。
3版5色。叢の背景色と兎の色は2色ずつをマダラに摺って重ねて深みを出しています。
このくらい少ない版数でもやれてたんだ、と時々見返しては思います。
この年のあと、年賀状は家族写真にしたので版画は休止しました。
冬の凍るような月を仔牛が見上げている図を、絵本の挿絵風にしてみました。
ただ仔牛の左耳が口に見えて吠えていると思われたり、牛舎の壁の上に積もっている雪を遠景の山脈と思われたり、なっかなか絵の意図が伝わらず。
雪深い山里で、子供が遊びで雪に掘った「子」の字の窪みに、鼠が入り込んで遊んでいる、という絵でした。
雪の雰囲気はあるものの、「子」の字に見えない、掘られた窪みに見えない、というところでちょっと反省の多い図柄でした。
子供の頃、年賀版画をしていた叔父の影響で小4から中3まで6年間年賀状を版画で出してました。
それ以13年ぶり、大人になって初めてやった年賀版画でした。
ボカシを4か所も入れてるし当時は凝ったつもりでしたが、今見ると拙いですね。
1981年、中学3年生の時の年賀状版画です。とっておいてくれた親戚からお借りしてスキャンしました。
年賀状版画はお寺の住職で年賀状をずっと版画でやっていた叔父の影響で、小4から始めてこれが6作目でした。これを最後に1995年までやめていました。
図案は伊藤若冲の仙人掌群鶏図からです。若冲のかっこいい鶏に憧れて版画にして、割と良く出来たし周りの反響もあったのですが、描いたものは自分の創作ではなく、自分がやったのは版起こしに彫りと摺りだけ。
いいねと言ってくれる人は若冲の絵に対してなのか自分の作業になのか、、と。。
他人の絵を借りた虚しさがずっと残った少しほろ苦い作品です。
そんな訳で、版画再開後は図案は必ず自分で考えるようになったのでした。